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お祝いや特別な場面での乾杯に頻繁に使用されるシャンパンとスパークリングワイン。両方とも炭酸ガスを含むワインですが、「具体的に何が違うの?」と疑問に思ったことはないでしょうか。シャンパンとスパークリングワインの違いについて調べましたので徹底解説いたします!!
シャンパンとスパークリングワインの違い
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スパークリングワインとは「3気圧以上の圧力を持つワイン」のことを指すものです。例えば、「シャンパン」もこのスパークリングワインのカテゴリに含まれます。
以下で詳しく触れていきますが、イタリアの「スプマンテ」やスペインの「カヴァ」のように、最近スーパーでよく目にするワインもスパークリングワインの範疇に入ります。
なお、スパークリングワインの中でも、フランスのシャンパーニュ地域で製造され、フランスの規定に基づく厳格な基準をクリアし、独自の精緻なプロセスを経て作られるものだけが「シャンパン」として称されるのです。
スパークリングワインの製造方法について
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スパークリングワインは、通常、3気圧以上のガス圧を有しています。
このスパークリングワインには5つの主要な製造方法が存在し、それぞれの方法によって異なる特徴や風味が生まれます。それぞれの製造方法を詳しく探ることで、その違いを理解できます。
スパークリングワインの製造方法1:瓶内二次発酵方式
スパークリングワインの製造方法の1つめは、瓶内二次発酵方式(びんないにじはっこうほうしき)です。
この方法は「シャンパーニュ方式」や「トラディショナル方式」とも称されます。瓶内での二次発酵を利用する製法は、スパークリングワイン製造において最も手間がかかる方法の一つです。非発酵の静止ワインを瓶に移し、酵母と糖を追加して密封、その後瓶内で二次発酵を行うプロセスです。
この製法で生み出されるスパークリングワインには、シャンパンだけでなく、フランスのクレマン、イタリアのメトド・クラシコ、スペインのカヴァなどが含まれます。この方法で作られるワインは、緻密な泡と滑らかな口当たりが特徴です。
スパークリングワインの製造方法2:シャルマ方式
スパークリングワインの製造方法の2つめは、シャルマ方式(しゃるまほうしき)です。
スティルワイン(非発泡性ワイン)を大容量のタンクに移して密封し、糖と酵母を加えて二次発酵を行う方法で作成されます。この方法は、短時間での大量生産が可能で、コストを低く抑えることができるために採用されています。また、ワインが外部の空気と接触しないため、ぶどう独自の香りを維持するのにも適しています。
この手法は「シャルマ」という名の者が開発したと言われ、そこから製法の名前として認識されるようになりました。また、「密閉タンク方式」としても知られています。
スパークリングワインの製造方法3:トランスファー方式
スパークリングワインの製造方法の3つめは、トランスファー方式(とらんすふぁーほうしき)です。
ワインに含まれる沈殿物を取り除くため、瓶内で二次発酵によって二酸化炭素を含むワインを高圧のタンクに移し、それを冷やしてろ過した後、新しいボトルに再詰めする方法です。
このプロセスはステップが少なく、経済的に効率的なスパークリングワインの生産方法として知られています。
スパークリングワインの製造方法4:リュラル方式
スパークリングワインの製造方法の4つめは、リュラル方式(りゅらるほうしき)です。
リュラル方式は、スパークリングワインの製法の中で最も古いとされています。発酵が途中のワインをボトルに移し、王冠等で封をし、その後の発酵をボトルの中で進行させる方法です。この時、追加の糖は使用せず、ぶどう固有の糖分のみでの発酵となるので、完成したワインのアルコール度数は比較的低くなります。
スパークリングワインの製造方法5:炭酸ガス注入方式
スパークリングワインの製造方法の5つめは、炭酸ガス注入方式(たんさんがすちゅうにゅうほうしき)です。
高圧のタンクにワインを封入し、炭酸ガスを注入する方法です。この方法は主にリーズナブルなスパークリングワインの製造に適用されています。注ぐ際の炭酸の強さは目立ちますが、泡がすぐに消える傾向があり、泡の持続時間が短いことがその特色として挙げられます。
シャンパンと名乗るための3つ条件
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フランスのAOC制度により設けられたいくつかの基準を全てクリアしたスパークリングワインだけがシャンパンとして認められます。その中の基準として、「原産地」「ぶどうの種類」「製造方法」について解説いたします。
原産地
シャンパンは、名前の通りフランスのシャンパーニュ地域でのみ製造されるものとされています。シャンパーニュはパリの北東方向に約140kmの位置にあり、フランスにおける最も北部のワイン産地となっています。
ぶどうの種類
シャンパンの製造に許されるぶどうは7つの品種が存在します。その中でも特に主要な3品種は、白いぶどうのシャルドネと、黒いぶどうのピノ・ノワールおよびピノ・ムニエとなります。通常、シャルドネは柑橘類のアロマや酸っぱさを持ち込み、一方、ピノ・ノワールとピノ・ムニエは豊かさや力強さ、まろやかさをプラスすると言われています。
これら3品種は、栽培されている総面積の99%以上を占めています。それに加えて、ピノ・グリ、ピノ・ブラン、アルバンヌ、そしてプティ・メリエの4つの品種も利用が許可されており、これらはすべて白いぶどうとして知られています。
製造方法
シャンパンの製造方法には、特定の「シャンパン法」という手間を伴う製法が採用されています。この中で最も独特な段階は、瓶での二次発酵となります。初期発酵が完了した静止ワインを、各々の瓶に移して、糖および酵母を追加。そして約2ヵ月をかけて、瓶の中でじっくりと発酵させていくことで、炭酸ガスが生成されます。このステップを通じて、ワインの香りは深くなり、豊かな泡を持つシャンパンが生まれます。
続いて、そのワインは15ヵ月以上、特定のヴィンテージの場合は36ヵ月以上、瓶内での熟成が必要です。熟成が完了した後、瓶内での発酵により生じた沈殿物の除去が行われる。そして、液体の量や風味の均衡を取るために特定のリキュールが加えられ、完成したシャンパンが得られます。このリキュールの添加量によって、シャンパンの甘さや辛さの調整が行われます。
シャンパンとスパークリングワインの価格と味の違いは?
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シャンパンは、スパークリングワインと比べると価格が高めです。これは、シャンパンの生産に関して多くのリソースや時間、労力が必要とされ、結果としてコストが増大するからです。さらに、シャンパン製造で使用されるぶどうのコストも高いとされています。
価格の手頃なスパークリングワインとシャンパンの味の違いは、滑らかで細かい泡の質に起因するとされています。シャンパンの風味は、ブランドや種類によって異なりますが、一般には洋梨、桃、杏、リンゴ、白花の香りや、バニラ、キャラメル、蜂蜜のような濃い香りが独特です。
スパークリングワインの海外での呼び方について
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全世界の多くの国々で製造されているスパークリングワインは、英語でスパークリングワインと呼ばれていますが、各国によってその名称は様々です。
フランス:ヴァン・ムスー
フランスにおいて、3気圧以上の炭酸ガスを持つスパークリングワインはヴァン・ムスーとして知られており、シャンパンもそのカテゴリーに含まれます。一方、1〜2.5気圧の発泡度の低いワインはペティヤンと称されます。
そして、シャンパーニュ地域以外で特定のエリアで認定され、シャンパンと同じ瓶内二次発酵の伝統的な方法で製造されるスパークリングワインをクレマンと呼ぶのです。
イタリア:スプマンテ
イタリア産のスパークリングワインは、スプマンテという名前で呼ばれています。このカテゴリーには、ヴェネト地方のプロセッコ、ロンバルディア地方産のフランチャコルタ、そしてピエモンテ地方のアスティが代表的です。
中でもプロセッコは、シャンパンやカヴァとともに、世界で最も評価されるスパークリングワイントリオの一つとされています。シャルマ手法で製造されるプロセッコは、果実の鮮やかな味わいが際立ち、日常的にワインを楽しまない人たちにも受け入れられやすい風味を持っています。
スペイン:エスプモーソ
スペインでのスパークリングワインはエスプモーソとして知られており、特にカタルーニャ地方で生産されるカヴァが有名です。このカヴァには、マカベオ、チャレッロ、パレリャーダといったスペイン独特のぶどう種が主に使われます。これらのぶどうは酸味が控えめで、その結果、シャンパンとは異なり、やや酸味の少ない爽やかな味わいが得られます。
カヴァの製造では糖分の追加が少なく、そのため多くのカヴァはドライな口当たりとなっています。また、製法はシャンパンに似ているものの、リーズナブルな価格帯で提供されることも彼らの魅力の一つです。
ドイツ:シャウム・ヴァイン
ドイツでのスパークリングワインはシャウム・ヴァインとして知られ、ゼクトがその代表格です。このゼクトは、一次または二次発酵を通じて3.5気圧以上の炭酸ガスを生み出すこと、さらにアルコール度数が10%を超えることが基準として設定されています。
ゼクトには価格帯の幅があり、大量生産でリーズナブルなものから、トラディショナルな方法で作られた高価なものまで様々です。高級なゼクトは熟成がよく行われ、深い旨味とまろやかな酸味、そして細かい泡が調和されています。一方、安価なものは新鮮な泡立ちとさっぱりとした酸味が際立っています。
ゼクトのラベルには、甘さの度合いを7段階で示した表示があり、これを参照して自分好みのワインを選べるのが特長です。
まとめ
シャンパンとスパークリングワインの違いについて解説いたしました。
1.シャンパンとスパークリングワインの違い
(1) スパークリングワイン
①スパークリングワインとは「3気圧以上の圧力を持つワイン」のことをいう。
(2) シャンパン
① フランスのシャンパーニュ地方で製造され、フランスの規定に基づく厳格な基準をクリアし、独自の精緻なプロセスを経て作られたものをいう。
2.スパークリングワインの製造方法について
スパークリングワインには、以下の5つの主要な製造方法がある。
(1) 瓶内二次発酵方式
(2) シャルマ方式
(3) トランスファー方式
(4) リュラル方式
(5) 炭酸ガス注入方式
3.シャンパンと名乗るための3つ条件
フランスのAOC制度によるシャンパンとして認められる基準は、「原産地」「ぶどうの種類」「製造方法」の3つ
4.シャンパンとスパークリングワインの価格と味の違いは?
① 価格:シャンパンは、スパークリングワインと比べると価格が高めである。
②味:シャンパンの風味は、ブランドや種類によって異なるが、一般には、洋梨、桃、杏、リンゴ、白花の香りや、バニラ、キャラメル、蜂蜜のような濃い香りが特徴。
5.スパークリングワインの海外での呼び方について
(1) フランス:ヴァン・ムスー
(2)イタリア:スプマンテ
(3) スペイン:エスプモーソ
(4) ドイツ:シャウム・ヴァイン
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