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「A社が従業員500人をリストラ」、「B社が500人の社員に早期退職の案を出す」というような報道をメディアで目にすることは少なくありません。 「退職」、「解雇」、「リストラ」という言葉は頻繁にニュースで触れられていますが、実際にはこれらの言葉が指し示す意味はそれぞれ異なります。 「退職」、「解雇」、「リストラ」の違いについて調べましたので徹底解説いたします!!
「退職」、「解雇」、「リストラ」の違いとは?
「退職」、「解雇」、「リストラ」の違いについて解説いたします。
退職(たいしょく)とは?
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退職(たいしょく)は、通常、労働者が自らの意志で組織を去ることを指します。 これは、「強制的な終了」というよりは、「労働者の選択」に基づいています。 例として、個人的な理由で組織を去りたいと考え、退職の申し出や退職の届け出を行った場合や、組織と労働者が協議の末、去ることを決定した際に、「退職」という言葉が用いられることが一般的です。
解雇(かいこ)とは?
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解雇(かいこ)は、組織が労働者に対して、独断で雇用契約を終了する行為を指します。 解雇と一括りにすることはできません。実際には、普通解雇(ふつうかいこ)、懲戒解雇(ちょうかいかいこ)、整理解雇(せいりかいこ)、諭旨解雇(ゆしかいこ)という4つの解雇が存在し、それぞれには特有の意味や、成立の条件が設けられています。
普通解雇(ふつうかいこ)とは?
普通解雇(ふつうかいこ)とは、労働者の能力不足、協調性不足、勤務規程の違反、人員の過剰などの理由で施される解雇のことを指します。勤務規程の違反のような行為が原因の場合、懲戒解雇の範疇にも入りうるものの、普通解雇は罰としての解雇とは異なり、懲戒解雇と明確に区分されています。
普通解雇は、労働者の了承を経ず、組織側からの一方的な告知で労働者契約を終了させるため、労働者の権利を保護する観点から、様々な制約が付けられています。普通解雇に関する裁判で、企業側が敗れ、「高額の賠償金」と「従業員の再雇用」を求められる事例は珍しくありません。
懲戒解雇(ちょうかいかいこ)とは?
懲戒解雇(ちょうかいかいこ)は、組織内の規律を大きく破った労働者への制裁として行われる解雇手段を指します。公務員に対しては「懲戒免職」という名称で呼ばれます。日本の制度の下では、従業員の権利はしっかりと守られているため、企業側が軽々しく従業員を解雇することは困難です。
整理解雇(せいりかいこ)とは?
整理解雇(せいりかいこ)とは、事業の継続に伴い、不要となった人材の調整を目的とし、雇用者からの労働関係の終了を意味します。 日本では、「1.人員整理の必要性」、「2.解雇回避努力」、「3.被解雇者選定基準の合理性」、「4.労働者側に対する説明・協議」の4つが考慮基準となり、労働者の状況に起因する通常の解雇とは異なっています。
諭旨解雇(ゆしかいこ)とは?
諭旨解雇(ゆしかいこ)とは、組織が労働者に退職を促し、その結果として退職届を手渡す行為を指します。もし労働者が退職の申し出をしない場合、懲戒解雇へと移行することが見込まれています。諭旨解雇は、懲戒解雇の一歩手前としての厳しい措置とみなされます。
リストラとは?
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現代の日本では、「リストラ」は、大半が余剰となった従業員の調整を指す用語として認識されています。 冒頭で触れた「A社が従業員500人をリストラ」というような報道は、「経営の観点から500人の労働者を縮小する」というニュアンスを伝えています。
この文中の「余剰労働力の削減」には、①整理解雇だけではなく、②希望に基づく退職、③退職の推奨などのアプローチも考慮されています。従って、「リストラ=整理解雇」よりも、「リストラ=整理解雇を含む従業員の人員削減」が適切な表現と言えるでしょう。この文脈で、「会社の一方的な雇用終了」だけではなく、他の退職の形態も考慮することで、単なる解雇とは異なる意味合いを持っています。
「退職」、「解雇」、「リストラ」の違いまとめ
「退職」、「解雇」、「リストラ」の違いについて解説いたしました。
「退職」、「解雇」、「リストラ」の違いとは?
(1) 退職(たいしょく)とは?
① 退職とは、労働者が自らの意志で組織を去ることを指す。
(2) 解雇(かいこ)とは?
① 解雇とは、会社が労働者に対して、独断で雇用契約を終了する行為を指す。
② 解雇には、以下の4つがある。
・普通解雇
・懲戒解雇
・整理解雇
・諭旨解雇
(3) リストラとは?
リストラとは、整理解雇を含む従業員の人員削減をいう。
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